映画『孤島の王』(12外-23)
【「王」になんて、なれなくていいから。】
6月24日 名演小劇場にて
ノルウェーのバストイ島の少年更正施設で
実際に起こった暴動を元に作られた映画だそうです。
バストイ島の施設は模範的な非行少年の矯正の場所と謳われ
教会が主体で運営されていたようですが、その実態と言えば…
船に乗せられバストイに連れてこられた二人の少年。
島に着いたとたん、いきなり名前をはく奪され
「C-19」と「C-5」と、呼ばれるようになります。
髪を刈られ、服を脱ぐように命じられ
「裸のままで他の入所者のところまで行け」、とまで…
自分自身を否定されたことが許せなかったのでしょう。
C-19は、反抗的な態度を隠しません。
そして、C-5の方と言えば、いかにもひ弱そうな少年。
入所の少年たちの穏やかな表情を見ていると
(元々、どんな罪を犯したのかはわかりませんが)
どの子も十分に更正し、真面目に勉強や労働をこなしている様子です。
ところが、ふたりの入所によって、彼らの心に波が立ち始めます。
模範生として出所が近いC-1は、ふたりの世話係に任命されたことから
まともに騒動に巻き込まれる事になります。
今まで抑えられ続けていたものが爆発し
そして、島を挙げての大暴動事件につながって行くのです。
いつの時代も、「王~TOP~」と言う地位を得た途端
立場を利用して、個人的な欲望を満たしたり
私利私欲に走ってしまう存在があるんですよね。
最後は、無茶苦茶だけど、純粋な少年たちを応援してしまいました。
「人は誰でも王になれる」と言うサブタイトルですが
彼らは、決して「王」になろうとしたのではなく
人間としての「譲れないもの」を守りたかったんですよね。
★★★★☆
『オレンジと太陽』とは、背景は似ていますが、全く違う内容でしたね。
『ドラゴン・タトゥーの女』のあの方が院長で
「コイツは信用できないぞ!」と、思ったら…
余韻と希望があるラストが、良かったです。
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» 映画「孤島の王」本当の王は誰だったのか [soramove]
「孤島の王」★★★☆
ステラン・スカルスガルド、クリストッフェル・ヨーネル、
ベンヤミン・ヘールスター、トロン・ニルセン 出演
マリウス・ホルスト監督、
117分、2012年4月28日から順次公開
2010,ノルウェー、フランス、スウェーデン、ポーランド,アルシネテラン
(原題/原作:KONGEN AV BASTOY)
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» 『孤島の王』 2012年5月2日 ヒューマントラストシネマ有楽町 [気ままな映画生活(適当なコメントですが、よければどうぞ!)]
『孤島の王』 を鑑賞しました。
ノルウェーの凍てつくような寒さを感じる映画でした。
盛り上がりはあまりないんですが、緊張感のある映画見応えありました。
【ストーリー】
1915年、罪を犯した元船乗りの少年エーリング(ベンヤミン・ヘールスター)が、ノルウェー本土からバストイ島に送り込まれてくる。外界から隔絶されたその島には、11歳から18歳までの非行少年を更生させる施設があり、少年たちは過酷な重労働を課せられていた。かなり高圧的な院長(ステラン・スカルスガルド)や寮長(クリストッフェル・ヨーネル... [続きを読む]
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