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2012年2月11日 (土)

映画『サラの鍵』(12外-5)

劇場鑑賞は逃してしまったのですが

先日、自宅で『黄色い星の子供たち』を観ました。

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鑑賞後、ネッ友さんのレビューを読ませてもらっていたら

せぷたか。さんが、本作について書いておられたので

全くノーチェックでしたが『サラの鍵』(公式サイト)を、観て参りました。

 

 

【真実を知る事の意味。】

2月10日 名演小劇場にて

 

『黄色い~』と、元々の扱っているテーマは同じ

パリでユダヤ人が大量検挙された「ヴェル・ディヴ事件」です。

『黄色い~』は、事件そのものがノンフィクション風に語られましたが

本作は、この事件に興味を持ったジャーナリスト・ジュリアが取材によって

事件に迫っていくと言う~ストーリー性を持たせた作品です。

 

1942年、パリの町中のマンション、黄色い星の付いていない寝間着姿で

無邪気に弟とはしゃぐサラ、椅子には猫がはべっています。

そんな明るく可愛いサラの笑顔は、ある朝、突然の乱入者によって奪われます。

フランス政府によるユダヤ人一斉検挙が始まったのです。

Sara3

機転を利かせ「弟は田舎で療養中」と嘘をつき、クローゼットに隠すサラ。

鍵を近所の人に預けて助けてもらおうとするのですが…

ここで、悲しいのは昨日まで隣人だと思っていた人たちが

今日には、敵に回ってしまっている事です。

普段から、声高に「ユダヤ人、キライ」と言ってる人ではないのですが…

 

屋内自転車に連行され、その後臨時収容所に移送されたサラ。

Sara02

ここから、サラは数奇な運命を辿ることになります。

 

一方、現在のパリ、夫と娘とで新居のリフォームを見学に来たジュリア。

新居は、夫の一家が長く住んだ場所で、夫が譲り受けたものでした。

義祖母から家の思い出話を聞いたジュリアは引っ掛かりを感じます。

ジュリアは、ジャーナリストで「ヴェル・ディヴ事件」を取り上げようとしているのですが

パリ市内のアパートで、戦争中の引っ越し~

家の取得は、「ヴェル・ディヴ事件」と関係があるのではないか。

1_2

ジュリアは「ホロコースト記念館」に取材に出掛けある事実を知ることに。

 

サラのたどった運命と、ジュリアの日常が交互に語られていく本作。

たどり着いた先には「事実を伝えることを恐れる人たち」が、います。

夫からも「事実を知って誰かが幸せになれるのか」と

取材の姿勢を批判されますが、それでも、ジュリアは続けます。

ジュリアが(夫の望まぬ子を)妊娠中、アメリカ出身など

色んな要素がうまくかみ合って物語も進んでいきます。

 

ジュリアが最後に手に入れたのは、固く閉ざした人たちの心の鍵。

鍵は開けなくてはいけなかったんです。

 

★★★★★(お気に入り作品登録)

これは、多くの方に薦めたい素晴らしい作品でした。

 

 

 

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コメント

こんばんは!

過去(1942年)と現在(2009年)が、巧く交互に描かれていました。
自らの家族に罪悪感を覚え、サラの辿った過去を追うジュリア。
何とも言いようのない感動作でいた。
ジュリアが我が子につけた名前を聞いた時には・・・・・涙・・

お早うございます。
おそらく、モット早くにサラはクローゼットの鍵を開けなくてはいけなかったのでしょう。でもそんなことをしたら、弟はスグに警察に捕まって、やっぱりガス室に送り込まれてしまったかもしれません。サラの息子も、ジュリアが無理に真実の鍵を開けなかったら、自分がユダヤ人であることを知らないままでいられたでしょう。
ですから、「鍵は開けなくてはいけなかった」わけでもないようにも思われるところ、そんなことを言ったら、日本橋署の加賀刑事がすぐさま飛んできて、「真実ときちんと向き合っていないからこそ、世の中の事件は起こるのだ!」と厳しくお説教することでしょう!

kunishimaさん
コメントとトラバを有難うございました。
しばらくROM専門で、読み逃げを繰り返していましたが
少し、時間に余裕ができてきました。
 
私は、赤ちゃんには男女どっちかの名前を付けるんだろうと
想像はしていたんです、でも「ルーシー」が出て来たから・・・
いやぁ、本当にあのラストにはやられました。
 
今日もまた早朝からお出かけでしょうか。
風もなくて、晴れていてよかったですね。

クマネズミさん
おはようございます。
コメントとトラバをどうも有り難うございます。

あはは~、そうですよ。
隠されているのが、どんなに悲しい真実でも
加賀は、それを明らかします。
きっとサラの夫のような人物が一番嫌いなはず~
ごくごく「普通な考えの持ち主」なんですけどね。
と言う意味で、このサラの夫をもっと「いい人」に
描いて欲しかったとは、思っています。

作品には、いくつもの「〇〇しなければ~」が、ありますね。
でも、サラがカギをかけなかったら、もっと早く開けていたら
サラの息子は、きっと存在しなかったでしょう。

開けなければいけない、その通りですよね。
キチンと真実に向き合わなければ人間前には進めないですもん。
ただ私いっつも思うんですけど、どうしてあそこまで子どもをいらない
っていうなら避妊しないんだよ!って。
結構海外の映画ってこのパターン多いんで、自分の中では車のドア
ロックをしないのはなぜ?ってのと同じぐらい不思議です。

KLYさん
コメントとトラバを有難うございます。
すっかりリコメが遅くなってしまって申し訳ありません。
 
あはは~、確かにそうですよね。
もうできる訳がないと思っていたんでしょうか。
まぁ、このお話でソコ押さえてたら締まらない映画になっちゃったでしょうが…
 
そう言えば、「どうぞご自由にお乗りください」って
都合よく停まっていますよね。

事実を知って幸せになれるのかと夫は言いましたが、
目を逸らしたままでも、結局ジュリアと夫は擦れ違ったままでしたよね。
サラが鍵を開けることを(そこにどんな現実が待っていようが)諦めなかったことに対し、
ジュリアも自分の本当の気持ちを諦めることをしなかった。
結果、サラと名付けられた子供が存在することになって、そこにこの作品の救いが見えた気がしまいした。観て良かったです!

やまべさん
こんばんは!
TBとコメントを有難うございました。

そうでしたね、夫は結局逃げているだけでしたね。
でも、ジュリアの強い信念が結局サラの息子も救ったのよね。
本当に観て良かったです。
過去の悲劇が現代に繋がっていることを描いたところも好きです。

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