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2012年2月10日 (金)

映画『灼熱の魂』(12外-4)

予告を観て「観たい!」と思っていたものの

すっかり出遅れ、気が付いたら最終週。

これは、もう無理かと、諦めていたら

また「映画の神さま」が微笑んで下さいました。

水曜までがんばったら、何とか仕事のめどが付き

お休みをもらう事ができました(しかも、ちょっと暖かい)

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『灼熱の魂』(公式サイトを観て参りました。

ネタバレはしていないと思いますが、ラストには触れています。

【母が、生き続けた理由とは。】

2月10日 名演小劇場にて

カナダに住む中東出身の女性ナワルが遺言を残して亡くなり

ナワルの子(双子の姉弟)が、公証人のところに呼ばれます。

01

ナワルは、その公証人の元で長年秘書として勤めてきた女性でした。

遺書には、埋葬の方法が指示されていましたが

それは遺族には、受け入れられない内容。

さらに、娘ジャンヌには「父を探せ」、息子シモンには「兄を探せ」

それぞれを見つけて、母が残した手紙を手渡したら

墓に墓標を建て、墓碑を刻み

二人に宛てた手紙を読んで欲しいとも、書かれていました。

父が生きている?兄がいる?

弟シモンは、今まで全く知らされていなかった事実に驚き、背を向けますが

姉シャンヌは、母の故郷へ行くことを決めます。

母の意に沿いたい、いや自分の事を知りたいと言う思いからでしょう。

そこで、ジャンヌは母の壮絶な半生に向き合わさざるを得なくなります。

異教徒を愛したために、悲しい運命に翻弄されたナワル

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ひとりでは、到底背負いきれないと判断した姉は弟を呼びます。

母の人生を知ることによって、子どもたちもまた過酷な運命を知ることに。

そして、それでも母が生き続けた理由とは…

双子と言う設定がとっても素晴らしい。

「一緒にいる事が素晴らしい」~かけがえのない存在。

過去と現在が交互に語られる上に、場所もどんどん移動して

(しかも、母娘を演じている役者さんがよく似ている)

色んなシーンが出てくるのですが、その語りもとってもスムーズで

サブタイトルが、とても生きています。

昨年、私たちは「天災」によって深い悲しみを味わいましたが

この作品で描かれているのは、人間が引き起こした悲劇です。

「神も仏もない…」ましてや「鬼も悪魔も…」

一番醜く恐れるべきものものは「人間」って事なのでしょうか。

一緒に居てやれなかった事

迎えに行く約束が果たせなかった事

総ては、自分がいけなかったのだ。

最終的には、子どもへの深い深い母の思い(愛)が語られて

切なく、哀しいけど胸に来ました。 

★★★★☆

もし、自分なら真実は墓場に持っていくのでは…

ストーリーは、決して「好き」とは言えないのですが

圧倒的な「作品の力」を感じました。

何か捕まえきれていないものがある気がして

「パンフレット」を買おうとしたら、売り切れていて残念。

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コメント

めちゃくちゃ良さそうですね!

力強い作品、熱のこもった作品に
惹かれる時期に突入しているので、すごく観たいです。

こちらは3月にやっとやってきます。
楽しみです。

デンさん
これは、是非是非観て頂きたいですね。
後で知ったのですが、元々日本でも上映されたことのある戯曲だそうで~
タイトルにもある通り、「熱」に関しては半端ないと思います。
でも、意外と芝居クサくないところも私は好きでした。
 
デンさんのレビュー、楽しみにしています

今晩は。
この映画は、「人間が引き起こした悲劇」が描かれており、まさに「圧倒的
な「作品の力」」を感じます。
ただ、見終わってから暫くしてよく考えてみると、確かに「最終的には、子
どもへの深い深い母の思い(愛)が語られ」てはいるものの、そして語った
本人は死んでしまうからいいようなものの、その語られた相手の双子の
姉弟は、そんなことを語られてもという思いにとらわないでしょうか?どう
して、自分らはそんなことを知らなくてはいけないのだ、知らなければそ
れで済んだことではないのか、と思わないでしょうか?
この作品は、母親を描くものであって、双子の姉弟はいわば狂言回しなの
だから、彼らのその後の運命は二次的なのかもしれません。
でも、明らかにされた事実が余りのものなので、どうしても彼らのその後に思いが行ってしまうのですが?

クマネズミさん
こんにちは、いつもすぐにお返事を頂戴し恐縮です。
私の方は毎度リコメが遅くなり申し訳ありません。

確かにおっしゃる通りです。
狂言回し的な役割とは言っても
スクリーンに登場する時間は母と同じくらい多く
こっちとしては、双子目線で出来事を観て行くのですから
ふたりの事を考えたら、胸が張り裂けそうで~
だからこそ、最初は公証人も反対をしたんでしょうね。
 
そこ、目をつむってはダメ!と、お叱りを受けそうですが
ストーリーの違和感がありながらも
不謹慎ながら、「面白い」と、感じた事も事実です。

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