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2012年2月19日 (日)

映画『サウダーヂ』(12日-9)

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昨年末くらいから、アチコチで評判を聞くようになり

ネッ友さんの2011年のベスト作に本作をあげている方もいて

名古屋公開を楽しみに待っていました。

 

『サウダーヂ』(公式サイトを観て参りました。

 

 

 

 

【見知らぬ街への憧れは…】

2月18日 名古屋シネマテークにて

 

ずっと前なのですが、ポルノグラフィティに同じタイトルの楽曲があり

どういう意味なのかなと、気になって調べた事がありました。

すっかり忘れていましたので、再度検索してみました。

ポルトガル語で「哀愁・郷愁・追慕」という意味だそうで~

 

甲府で、大手建設会社の孫請け土方の組で毎日、土を掘る精司

派遣でやってきたビンちゃんがタイに居たと聞いて興味津々。

精司には、キャバクラ勤めの頃(多分、精司の羽振りが良かった頃)知り合って

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今は、エステシャンとして頑張っている妻がいるのに

タイパブで知り合ったミャオに惚れて入れあげているのです。

 

さらに派遣で、精司と一緒に働き始めた猛

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猛はラッパーなのですが、家庭は崩壊の危機にあるうえ

ライブをしても満足が得られていません。

 

お話は、精司と猛がメインで進んでいくのですが

とにかくこの作品、出演者が多い! 

まるでドキュメンタリーで街全体を取材して廻ってるみたいです。

精司の働く現場、ミャオの働くタイパブ(インパクトのあるママが居ます)

猛の属するヒップホップグループ、対抗するブラジル人のグループ。

水の販売もやってるデリヘル、老人ホーム、

ブラジル人が多く住む団地では、自治会長の家庭が登場したり

中古車販売会社に職安、政治団体まで…

 

多分素人さんと思われる方も混じっているし

次々と登場するけど、起承転結がある訳ではないので

途中、ちょっとボーっとしてしまう情けないワタクシ。

 

でも、観終わって思うのは、やっぱりこれだけの人は必要だったのだろうって事。

不況がもたらす社会の崩壊って

イチ職場だけを描いても描ききれないものだと思うから

 

結局、精司の親方は不況に負けて失業。

でも、困った風でもない精司はミャオとタイで暮らそうと考え始めています。

一方、猛はイベントでブラジル人グループに後れをとった上

よりを戻したつもりでいた元カノが、そのグループのリーダーと

付き合っていることを知って、外国人を否定するようになって行きます。 

 

猛の故郷を思う気持ちは、誤った方向に向かって行き

精司は故郷ではなく、見知らぬ街への郷愁を懐くようになる。

そして、その先には…

 

★★★★ 

一応、キチンと物語が〆られていてスゴイと思いました。

冬は、「豚しゃぶ」に限ります♪

 

精司を演じた高野毅さん、カッコ良かったです♪

田我流さんのラップは、一度フルコーラス聞いてみたいな。

1

と、ミャオちゃんがすごくきれいで、エンディングの舞踊が素晴らしかったです!

 

「遠きにあって故郷を思い「住めば都と愛する」

私は幸せな人間だなと、改めて思いました。

 

 

 

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コメント

こんばんは。
本作は、昨年クマネズミが見た邦画の中で一番出来が良いのではと
思ったものです。甲府とブラジルという、クマネズミが至極思い入れのあ
るファクターが、二つも重要な役割を演じていることもありますが、映画
で描かれていることは、大なり小なり殆どすべての地方都市に見受け
られる事態であって、この映画が全国を回っていくにつれて共感の輪が
どんどん広がっていくのではと思ったりしています。
とはいえ、「ほし★ママ」さんは、「私は幸せな人間だなと、改めて思」っ
たとおっしゃっているところからすると、名古屋周辺はまだこうした事態
(シャッター商店街、外国人労働者問題など)に立ち至ってはいない
ように推測されますが、いかがでしょうか?

映画としては特殊ですよねえ。

長くて、人が多くて。

でも、無駄なシーンの印象がない。

観た後はちゃんと納得感心出来たんですが、もう一回トライするかと言われると手は出しづらいなあ

クマネズミさん
ふじきさんにお薦めいただいて有難うございました。
めったに行かない劇場での公開でしたので
予告を観る機会もありませんでしたし、見逃すところでした。
作り手の思いが伝わってくる作品でしたので、観れて良かったです。
 
そうですね~、派遣切りなどが問題になっていた頃は
自動車関連企業などで、外国人ば随分帰国されたと聞きましたが
休日にシネコンが入っているスーパーなどに行くと
駐車場が空いてなくて困るほど~不景気はどこ?って、感じです。
なにせ「お気楽兼業主婦」の視点ですので、怪しいですが…
 
トラバとコメントを有難うございました。

ふじき78さん
こんばんは!
トラバとコメントを有難うございました。

例えば、会話の中に織り込んで済ませられるような事柄も
総て映し出されて行きますからねぇ~
でも、そこがこの映画の「力」に、なっているんでしょうね。
 
私はもう一回、家で「寝っころがって」観たいですね。
あ~でも、寝落ちしてしまうかも…

クマネズミさん同様、私の昨年の邦画ベスト作品です。
こういうドキュメンタリー調の話って凄く好きなんですよね。
あんまりエンタテインメントに振れていないんで、一般的
に受けは良くないでしょうけど…。
東京に長く住んでいるととかく忘れがちですが、地方出身者
として、地方が元気が無い日本は駄目になると確信して
ます。ある意味地方の悲鳴の代弁にも聞こえる作品だと
思いました。

KLYさん
こちらにもコメントを有難うございます。

>地方が元気が無い日本は駄目になる
なるほど、確かにそうですよね。

ドキュメンタリー風で、淡々とはしているんだけど
「見せ方」がウマいと言うか、しっかり演出されているので
いつも間にか彼らの応援団に!
最後には、「頑張れ!」「元気出せ!」と、
すっかり、茶沢さんになってしまっていました。

こんばんは!

TB&コメントありがとうございます。

ドラマでありながらドキュメンタリーのような
魅力的で不思議な作品でしたね。

帰りが遅くなりましたが、上映後の舞台挨拶も
好印象でした。

kunishimaさん
こんばんは!今日は暖かかったですね。
こちらこそ、コメントとトラバを有難うございました。
 
そう!とっても不思議な作品でした。
演技はおせいじにも上手とは言えない人も居るのに
ちゃんとひとつの見応えのある作品に仕上がっていましたよね。
 
舞台挨拶、残念でした~~
ラップだけでも聞きたかったなぁ。
それにしても「午前さま」は疲れますので、ほどほどに~

僕は 見て無いので 高崎の映画祭で見るので
参考にさせていただきました。

sakuさん
こちらにもコメントを有難うございます。
参考になるかは、自信がないのですが
なかなか面白い視点で描かれているので、楽しんで下さい。
映画祭含め、感想を楽しみにしております。

こんにちは。
色々な要素に溢れていて、面白い映画でした。
特に、精司は不況に揉まれているようでありながら、金を飲み代に使っちゃうわ、大胆に不倫旅行をしてるわで、けっこう豪勢。しかも、それだけ使っても奥さんにバレない
意外にそんなもんかもしれないですね。

ナドレックさん
すっかりご無沙汰してしまっています。
ブログの記事もツイートも読ませて頂いているのですが
ROM専で、自分の方は、完全に開店休業状態でした。
GW明けからボチボチ復帰の予定ですので、今後ともよろしく。
トラバとコメント、どうも有り難うございました。
 
精司の言動って、本当に軽いとう言うか脳天気…
社会の崩壊を描いていると思ったけど
そう悲壮感がある訳ではなくて
「みんななんとか生きてます!」なのが
本作の魅力なのかもしれませんね。

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