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2010年12月21日 (火)

映画『酔いがさめたら、うちに帰ろう』劇場鑑賞。

西原理恵子さんと言えば、去年まで全く存じませんでした。

娘の家に行くたびに「ぼくんち」は読んでいたのですが

その原作者であることさえ全く知りませんでした。

 

でも去年、たまたま『いけちゃんとぼく』『女の子ものがたり』と

相次いで映画化された作品を拝見したら

現実の暗い面をしっかり描いてるんだけど、なぜか優しくて暖かい…

 

本作は、その西原さんの今は亡き元ご主人が

ご自身と家族を綴った原作の映画化(公式HP)です。

12月19日、シルバー劇場で観て参りました。

 

【帰るところがあるとわかった時の安堵】  

戦場カメラマンと言う立場で見て知った数々の悲劇から

「酒を飲むことで逃避する」「酒の力で目を反らす」事を続けてきた塚原は

強度のアルコール依存症に加えて、体中がボロボロの状態です。

母親と二人暮らしの塚原ですが、実は彼には妻子が…

飲むと妄想に取りつかれ、暴れて暴言を吐く彼に妻は「別れる」選択をしたのでした。

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それでも、妻は夫の非常時には必ず駆けつけます。

入院や治療を勧め、子どもと共に見舞って励まします。

子どもたちも、そんなお母さんを見ているのでお父さんが大好き。

 

妻子にも年老いた母のためにも治療を決意

精神科に入院をして治療を始める塚原。

入院生活の描写が、意外とユーモラスでいい流れを作っています。

担当医を演じる高田聖子さん、入院患者役のベテラン役者さんたちのキャラに

負うところが、とても大きいと思いました。

担当医は、妻に「アルコール依存症は誰からも同情される事のない病気」だと、言います。

また「悲惨なものを見たり聞いたりした人とその渦中にいる人とどっちが不幸か」と。

原作者の鴨志田さんが、同じ病気になる人がなくなるようにと思いを込めて

また、自分自身への強い反省を込めての言葉に思えました。

  

西原さんは、原作の映像化には必ずご出演されています。

それを「山村美紗作品の山村紅葉的ポジション」とおっしゃったって言うのを

何かで読んだんですが、「火サス」大好き人間としては、なかりツボ。 

今作では、無表情で言葉を発する事のない女性患者が

夫のお見舞いに浮き立つ様子を見物する野次馬役です。

そのシーンで、一人寂しく「書」を続ける女性患者も描かれます。

心を病む者にとって、受け入れてくれる人がいることが

いかに大きな薬であるかを示しているシーンに思えました。

336704view001

そして治療後、家族に受け入れてもらえて

穏やかな日々を過ごすことができた鴨志田さんは

妻西原さんへの感謝のこもったラブレターとしてこの作品を残されたのだと思いました。 

336704view002

 

(元)妻を演じた永作さんが、本当に素晴らしい。

その話し方、表情、目線総てから、この役に入り込んでる様子が伝わってきます。

浅野さんもいいですね~、ダメ男ぶりもいいけど

子どもと接すると急に目尻の下がった優しい表情になるところが、さすがでした。

 

~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~

わたしの採点 ・・・ ★★★★ (85点)

また、エンディングテーマが清志郎さんでした。

涙が止まらなくなるから「使用禁止」にして欲しい…

~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~

  

来年公開されることになっている『毎日かあさん』は

西原夫婦の物語をきょんきょんと永瀬さんの元夫婦が

演じることになって、話題になっていますね。

これを観た後で、公式HPの予告トレーラーを観ただけでウルウル~

西原さんからの「返歌」とも言えるこの映画の公開も今からとても楽しみです。

 

  

 

 

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コメント

私も西原さん大好き!
日記に書いたけれど・・・試写会友人に本を借りて読みました。
ブログにも時々お邪魔してます。
映画は2本とも観たいと思っています。

彼女は吉祥寺に住んでいるので、逢えるといいな~と思いながら
いつも歩いています。(我が家は吉祥寺まで車で15分の距離です)
壮絶な人生ですが、平凡な人生を歩んでる私には少し羨ましい。
彼女のあの底なしのバイタリティと明るさは見習いたいです。

こんばんわ!

明後日、見に行く予定です♪
夫婦二人の演技がすごく楽しみです♪

西原さんは読んだことないですが、映画の方はちょこちょこ見てます。
「パーマネント野ばら」が好きです♪

『毎日かあさん』はいろんな意味でドキドキしますね

サイバラさんの作品は、すごくくだらない作品がある中で、こころが洗われるような作品がありまして、いまやサイバラ・ブームですなあ。
心がホカホカしてくる作品ですね。
トラックバックさせてください。

おはようございます!
いつも 新鮮な情報 ありがとうございます。
ママちゃんのブログ どんなに参考になってるか わかりません。
西原さんのドキュメンタリをテレビで観て 興味持ってました。
おかあさん 元ダンさんとの関係 個性的でありますが
これもありだよなあと思ったです。
もう一本 西原ファミリーの映画 封切されてましたっけ?
浅野忠信=元旦那役の。
どっちも観たくなったです。

☆kei36ちゃん☆
今日は妙に暖かかったですね。
風邪はすっかりいいですか。
西原さん、素敵な方ですね♪
今まで、ほとんど知らなかったんだけど
この映画を観てさらに「好き」になりました。
みんなが西原さんを好きになるようにと
鴨ちゃんは、原作を書かれたのかもしれませんね。
36ちゃんの感想も楽しみにしています

吉祥寺かぁ~、いいところ(みたい)ですよね。
36ちゃんちの近くに住みたいよ~
相変わらずお江戸に憧れています、半世紀生きてるのにねぇ

☆デンさん☆
映画にも行けるんですね~よかった
パーティーは残念でしたが、また機会はありますから~
 
主演のお二人はもちろんですが
他のキャストも、メチャクチャよかったです。
アシスタント役の市川実日子さんとか
医師役の利重さん、大好きな渡辺真起子さんも出てらっしゃるし
レビュー、楽しみにしています

☆てるてるさん☆
コメント&トラバ、有難うございます。
このブログのトラバって送れたり送れなかったり~
何かルールがあるらしいんですが、いまだ把握できていません

『パーマネント野ばら』~そうでしたね、てるてる「も一回作品」でしたね。
残念ながら見逃してしまったので、DVDレンタル予約をしています 
どんなに辛かったり、きつかったりする日々を経験しても
心穏やかな時間を過ごすことができた~ホントにホカホカしました。

☆まふゆたん☆
あらら~、何と嬉しいお言葉。
土曜日、断捨離を決行して、テンション
日曜は、映画を観て、ウィークデーにはみなさんとおしゃべり。
自由気ままに生きてるおばちゃんですが、これからもよろしゅう。
 
そうですね、おふたりには愛情があったのだと思います。
でも、許せない事…でも、許しちゃう事・・・きっとありますよね~

『毎日かあさん』の方は、来年の2月が封切りみたいです。
地元のシネコンに掛るし、今から楽しみ

TB返し&コメントありがとうございました。
鴨志田氏がこの後、癌で亡くなっている事を知っているだけに
家族と波打ち際で戯れるラストシーンには救われる思いでした。
アルコール依存症による幻覚や幻聴、異常行動などの表現も斬新でしたね。
また遊びにきます。

☆西京極 紫さま☆
ご訪問とコメント、どうもありがとうございます。
お約束のお別れのシーンがあるのかと思ったら
平和で幸せな家族の姿、暖かいけど余計に切なかったですね。
こちらこそ、またお邪魔させて下さい。

こんにちは!!  うんうん  僕試写会で見た
これ 重い題材を ちゃんと エンタメ映画にした 監督がね
「クレイジーハート」「ばかもの」とアルコール依存症ね
高田聖子先生良かったですね。

浅野忠信jは、酒びたりぶりといい、入院生活といい、なかなな見せてくれますが、
パートナーの永作博美が本作でも素晴らしくて、お互いに演技が、
さらなる相乗効果を生んだような気がします。
毎日かあさんも、キョンキョンなので楽しみです♪。

☆sakuさん☆
当然、現実はもっと壮絶だったと思いますが
ちょっとしたセリフなんかでうまくカバーして
とっても暖かい作品にしていましたね。
『クレージーハート』も、ミリオン座に掛ったのですが
夏だったので見逃しました。
DVDで鑑賞したいと、思います。

☆ふぁろうさん☆
ちょっとお茶目な表情とか、ブラックな言葉とか
どれも永作さんが完全に自分のものにしてましたね。
浅野さんは、インパクトありそうで意外と
主演女優を引き立てる方だと思います。

キョンキョンもお茶目な役の方が好き♪
『毎日かあさん』~めっちゃくちゃ楽しみです!

あけまして おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

今日、「酔いがさめたら、」観てきました。
たんたんとした静かないい映画でした。
「まだ死なないよ」サイバラさんの愛が溢れていた
当事者には その時より ひとり台所に居る時の方が 沁みるのかもと思います。
高田聖子、利重剛 両先生 よかったです。
西原先生 患者のひとりだったのね、、、見送るひとりか~

☆まふゆちゃん☆
あけましておめでとうございます。
すっかり出遅れ、ご挨拶も今頃で申し訳ありません。
こちらこそ、今年もよろしくお願いします

今年、初鑑賞でしょうか!?
そうでした、あのキッチンのシーンは切なかったです。
そして、ラストに海のシーン
家族の愛を実感できて、短いけど幸せな人生だったと言えるのでは…

両先生がよかったですね、実際相当な人格者でないと
ああ言う患者さんたちを抱えては大変だと思いました。

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