映画『キャタピラー』 劇場鑑賞。
若松監督が作られた映画館、名古屋シネマスコーレで観てきました。
14日、15日と続けて行われた舞台挨拶のある回には参加できなかったので
「お疲れ休み」~16日~に、出かけました。
時間ギリギリながら、何とか第1回目の上映に滑り込めると思っていたら
第2回でも40番(キャパ50くらいだと思います。)
第3回もあっという間に完売と言う大盛況ぶりでした。
この劇場は、会員になると前売り料金の100円引きで鑑賞ができます。
私も一応会員なのですが、この作品に関しては
・ 1000円…と、とても安かった。
・ 半券が欲しかった。
・ 前売りを買っておかないと、忙しい時期だけに「パス」してしまいそうだった。
ので、「前売り券」を買っていました。
チラシや予告でご存知の方が、ほとんどだと思いますが
直接的な「戦う場面」が、描かれることがない「反戦映画」です。
戦争によって、翻弄されるある夫婦を描いています。
舞台は、爆撃機が空を飛ぶこともない山あいの農耕地帯~
戦争の様子を伝えるラジオ放送が、戦争中であることを伝えます。
この映画を観て5日経ちました。
周りの人とこの作品について話していくうち
はさまれるニュースの映像や音声が時系列を現わす
大切な要素だったと、思うようになってきました。
自分なりの解釈ですが、そのことを踏まえての感想です…
四肢と言葉と聴力~食欲と性欲以外のすべてを失った夫久蔵が
シゲ子の元に送り届けられた時
シゲ子も久蔵の親族も、戸惑いを隠せません。
けれども、誰もが日本の勝利を信じ、村も戦時色一色。
久蔵は、勲章を三つ賜った上、新聞にも載って
「軍神」と讃えられることになります。
自分では、何もすることのできない生ける「神」との生活…
最初は、シゲ子も誇らしく、軍神さまのお世話をします。
「銃後を守るのは妻の勤め」
婦人たちは、竹やりの訓練やバケツリレーに精を出します。
ラジオの大本営発表が華々しい日本の快進撃を伝える中
若者も体の弱い者さえ出征するようになってきます。
シゲ子と久蔵は相変わらず「食べて、寝る」毎日。
しかし、食べるものは日増しに乏しくなって行き
妻を十分に喜ばせることもできず
子どもを為すこともない不毛な夫婦生活にイライラが募りはじめます。
戦地を見てきた久蔵には、戦況の悪化も感じていたと思います。
お互いのストレスが頂点に達して・・・
戦争と言うものが、人にもたらす「狂気」
自分の信じる事を決して主張してはならない毎日。
こんな愚かな事が、現在でも絶え間なく
今も世界のどこかで起こっているという事に、強く怒りを感じます。
二つの原爆投下~
誤った判断が招いた結果なのか、私にはわかりませんが
エンディングに歌われる悲劇は
決して繰り返してはいけないと、強く思いました。
戦火のない平和な地球になりますように…
史実を突きつけられて怒りに震えた『実録・連合赤軍~』と違い
フィクションの中に真実を込めた本作は
「反戦映画」と前置きをされて観ていなかったら
どのように感じたか、自信がありません。
父が戦地を経験し、母が焼夷弾が空を焦がす様子や
食べ物がなくて子供だけで買い出しに出かけた話を
聞かされてきた私ですら、戦争は今やドラマでしかありません。
(父の話は、とうとう一度も聞けませんでしたが…)
「連合赤軍」を撮った時、キャストのほとんどが
戦後派の二世だった事に危機を感じての若松監督渾身の本作。
多くの世代の方に「観て」何かを「感じて」頂きたいです。
私の評価 ・・・ ★★★★(4.25)
寺島さん、大西さん、そしてクマさんの演技は申し分ありません。
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» キャタピラー★★★★☆今世紀最大の衝撃作 [のびた@映画の話をしようよ]
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ジャンル : ドラマ
製作年 : 2010年
製作国 : 日本
配給 : 若松プロダクション・スコーレ株式会社
上映時間 : 87分
キャスト・スタッフ - キャタピラー
監督 : 若松孝二
出演 : 寺島しのぶ 、 大西信満 、 吉澤健 、 粕谷佳五 、 増田恵美 、 河原さぶ 、 石川真希 、 飯島大介 、 安部魔凛碧 、 寺田万里子 、 柴やすよ
[ 2010年8月14日公開 ]
一銭五厘の赤紙1枚で召集される男たち。シゲ子の夫・久蔵も盛大に見送られ、..... [続きを読む]
» ★キャタピラー先行プレミア上映 [LOVE&PEACE]
2010年8月6日、広島原爆投下の日に[http://www.wakamatsukoji.org/ キャタピラー]を見て来ました。
舞台挨拶付きで若松監督、寺島しのぶさん、大西信満さんが壇上に・
しのぶさんは、生で見るとすらりとしてやはり女優さんオーラが・
満員の観客に感動してらしたような気がしました。
若松監督からの一言・
*今、作らないと後悔すると思った。
*寺島さんはどうせ僕の映画なんか出てくれないと思..... [続きを読む]
» 「キャタピラー」 目をそらさず、しっかり観ましょうね [てるてるの小屋]
テアトル新宿で、「キャタピラー」を観ました。
ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した作品ですね。
[[attached(0,class=popup_img_500_333 width=500 height=333)]]
日本の軍人さんは、「天皇陛下」のために、中国へ、南方へ戦争をしに行って、「天皇陛下万歳!」って言って死んでいき、「靖国神社」で祭られて、神様になっちゃうんだそうです。
でも、戦争の話って、原爆で空襲..... [続きを読む]
こちらに越されたのですね。
ここが住みよい場所でありますますように。
これまで数多くの戦争映画を観てきて、少し慣れてしまっていたかも知れませんが、この作品は爆弾を落とされたかのような衝撃でした。
確かに反戦映画とうたわれていなければ、微妙なところがあると思います。
果たしてあそこまで映像で見せてしまっていいものか…。
しかし、これまで描かれなかっただけで、手足を失った傷痍軍人というのが、数多くいたのは事実です。
これが戦争の真実なのでしょう。
投稿: のびた | 2010年8月20日 (金) 21時45分
こちらでしたか・・
そうですね・・戦争が嫌いだとか口に出して言えない時代。
元来、素直で従順な日本人はお国の為・と戦争に行ったのでしょう。
その時代に生きてないので分かりませんが、
国民の多くが、政党を支持した結果なのだとも思いますが・・?
知覧には特攻隊員たちの遺書や様々な遺品が展示されてるようで・・
私は行ってませんが、娘が以前行ってその手紙を読んで泣いたそうです。
みなさん泣いてたと・・
核拡散の現状を考えれば、原爆投下したアメリカの責任は重大。
投稿: sanae | 2010年8月20日 (金) 22時43分
とても気になっている作品で、ほしママさんがご覧になったと一言にあったのでレビューを楽しみにしてました。
これ・・・どうなんでしょう。。。
観たいような、観なくてもいいような。。。
でも、やっぱり・・・
そんなグダグダな思いにとらわれてます^^;
ほしママさんの、率直な突っ込みどころをお聞きしたいなぁ~なんて思います^^
投稿: ようこ | 2010年8月21日 (土) 21時20分
☆のびたさん☆
遠いところまでお越しいただいて有難うございます。
ヤフー映画で、知り合ったネッ友さんの真似をして
引っ越してきました。
レビュー+アルファで1作づつ
記事をあげていきたいと、思っています。
今までと変わらず、どうぞよろしくお願いします。
小さい頃、商店街などで手足を失った傷痍軍人さんが
ちょうど帰還した時の久蔵のような白い服で座っていました。
父が必ず小銭を寄付して、母がそれに対して
文句を言っていたのが、鮮烈に思い出されました。
健常者でさえ、生き辛い戦後に
本当にご苦労をなさったことと思います。
そんなこんな含めて、のびたさんの
「今世紀最大の衝撃作」の表現は、ピッタリだと思いました。
のびたさん、そしてsanaeさん
舞台挨拶つきの先行上映をご覧になった方の
記事を読ませていただいた上で
鑑賞ができて、とてもよかったです。
どうも有り難うございました。
投稿: | 2010年8月22日 (日) 19時38分
☆sanaeさん☆
訪問して頂き、コメント&トラバ、どうも有り難うございました。
レビューだけでなく、映画の記事を書いてらっしゃる方と
お話しするようになって、私もこのスタイルにしたくなりました。
sanaeさんやのびたさんの記事を読ませていただいた上での
鑑賞がとてもよかったと感謝しています。
NO!と言えないというより、ある意味「洗脳」によって
一つの考えにまとまっていた時代なのでしょう。
でなければ「忍び難きを忍び耐え難きを耐え」る事は無理だったでしょうね。
(本作、玉音放送が口語訳だったのにビックリ!)
私も原爆投下は、やはり投下した側に非があると考えています。
でも、この作品は、違う考えが出ていたように感じました…
投稿: ほし★ママ | 2010年8月22日 (日) 19時51分
☆ようこちゃん☆
若松監督は、戦後派二世に観ていただきたいと、本作を作られて
当日でも一般1300円、高校生500円で鑑賞できます。
「お勧めしたい作品」では、ありますね~
寺島しのぶさんが、地元のラジオに出演された時
話しておられたのですが、低予算で作った作品なので
短期間で、「素顔に見えるメーク」を、ご自分でなさったとの事。
そう言うこともあっての突っ込みどころ~は
本筋とは全く関係ない部分で
ちょっと演出不足や、配慮の足りなさに気になる部分が~
書いちゃうと絶対目が行ってしまうと思うので、自粛します…
投稿: ほし★ママ | 2010年8月22日 (日) 20時02分
こんにちは♪
夏に気になる映画が多く、仕事の合間に皆さんのレビューを読んでます。
邦画は戦争をきれいに取る作品が多く、反戦の意識が感じれる作品があまりありません。
作り手がいくら、反戦を叫んでも、きれいなお話、お涙ちょうだいのお話にしか感じれなくって
時々腹立たしくなるくらいです。
でもこの作品はちょっと違うのかなと期待をしています。
突っ込みどころもあるということですが、
性的な描写も多いと聞いてるので、ちょっと不安もありますが、
やはりどうせ見るなら劇場でと思ってます。
投稿: ココロ_kibou | 2010年8月26日 (木) 17時47分
☆ココロちゃん☆
こちらまで訪ねて下さってどうも有り難う。
ご挨拶が遅れてすみません。
「Yahoo!の新着通知」にリンクさせることもできるんだけど
プロフィールに反映されることがわかって止めました。
まだ、立ち直れてないなぁ~
そうそう!『キャタピラー』
この作品、まさにココロちゃんのおっしゃる通り!!
久蔵は、戦地で罪を犯し、それが心を蝕んでいくのだけど
そこで、久蔵への同情を絶って
戦争の悲惨さをさらに表現しています。
性的な描写も~いわゆる「濡れ場」「セクシー」なものではなく
人間の本能、営みという描き方です。
ただ、久蔵の体がああなので、かなりショッキングではありますね。
投稿: ほし★ママ | 2010年8月26日 (木) 21時50分
みんなが口を閉ざして、語られない戦争のお話。
それをあえて作ろうとする監督の執念は素晴らしいですね。
目をそらさずに、しっかり観て、考えてほしい作品ですね。
トラックバックのお返しをさせてください。
投稿: てるてる | 2010年10月 4日 (月) 04時05分
☆てるてるさん☆
遠くまで来て頂いて、コメント&TB、どうも有り難うございました。
つくって下さったこと、監督さんに感謝です。
基本的に、笑い転げたり
「ありえんわぁ~」って突っ込める映画が、好きなんですが
観れて本当によかったです
投稿: ほし★ママ | 2010年10月 4日 (月) 18時08分